自社株式の承継対策
事業承継で経営者の方が最も心配されるのが相続税の問題です。
特に、中小企業の多い日本では、非上場株式や非上場企業の評価が重要ですが、これが困難だと言われているのです。
非上場会社の評価は、相続税・贈与税の計算上「取引相場のない株式」に分類されます。
大きく分けると、その評価方法は
■純資産価額方式
■類似業種比準価額方式
■配当還元方式
に大別されます。
これらの評価方法は、会社の規模(資産総額・従業員数・売上高等)によって、以下のように変わります。
大会社
類似業種比準価額方式か純資産価額方式を適用します。
中会社
類似業種比準価額方式と純資産価額方式の併用方式(併用割合:類似0.6~0.9、純資産0.4~0.1)
小会社
純資産価額方式または類似業種比準価額方式と純資産価額方式の併用方式(併用割合:0.5)
事前に持株、不動産の贈与をしておいたり、他者に売却するなど、長期的効果が期待できる対策をすることが重要です。
また、経営者自身が所有する株式や、経営している会社の自社株や不動産等の財産は、今後の事業継続を考えて後継者へ集中させて引き継がせることが重要です。
不動産の場合であれば、経営者名義のものを会社名義、あるいは後継者名義にする必要があるでしょう。親族や後継者に売却する形式で同時に節税効果を狙うこともあります。
いずれにしても、どのような財産を引き継ぐかは相続人となる親族も含めてよく話し合い、お互いに納得することが必要です。
これを怠ると会社経営を揺るがす事態になることもあります。
法務面、税務面、経営面で専門家に相談をするのが望ましいでしょう。
この記事の執筆者
おひなた司法書士事務所
司法書士
永谷 啓一
保有資格司法書士・日商簿記2級・FP3級
専門分野遺産相続・生前対策
経歴神戸市出身/大阪市立大学工学部/行政書士試験合格/司法書士試験合格/司法書士法人勤務/永谷司法書士事務所開業/おひなた司法書士事務所に屋号変更し相続分野に注力しています。